このページは音声読み上げページです。下の[開始]ボタン(右矢印)を押すと、テキストの読み上げを開始します。([開始]ボタン(右矢印)が出ていない場合はここをクリックしてください。)


          『ふーんと、受け取る』

浄土宗・俊光寺・岩垣法順


 「仏様の御心は、大慈悲そのものである」観無量寿経にある有名な言葉です。 さらに「大慈悲」を、私の代わりに苦しんでいただける「代受苦」と味わうと、その聖意(御心)がいっそう身近に感じられます。

 代わりに苦しんで頂ける世界があるというのは、それだけで大いなる救いです。、救いは不思議の世界です。

金子みすず の詩をご紹介しましょう

  私は不思議でたまらない  黒い雲から降る雨が
  銀にひかっていることが 
  私は不思議でたまらない  青い桑の葉食べている  蚕が白くなることが
  私は不思議でたまらない だあれもいじらぬ夕顔が  一人でぱらりと開くのが 
  私は不思議でたまらない  誰に聞いても笑ってて  あたりまえ だということが
 
 北原白秋は

  赤い鳥小鳥 なぜなぜ赤い   赤い実を食べた
  白い鳥小鳥 なぜなぜ白い   白い実を食べた
  青い鳥小鳥 なぜなぜ青い   青い実を食べた      と詠っています。

「バラにバラの花咲く、何の不思議なけれども」 とも詠っています。

 トマトにはトマトの、ナスにはナスの花が咲くのです。花が咲けば疑いもなく、千に一つの仇もなく立派な実がなるのです。そしてその実を頂くのです。

 本当に不思議です。不思議の感じられるところに、その優しさ、癒しの世界が在るのではないでしょうか?不思議を不思議として、そのままに「ふーん」と味わう。ただそれだけです。

「ふーん」と長くのばさないで「ふん」と短く理解すると、一ふん、二ふんで話は終わりです。何とも味気ない世界です。不思議は、ただ、ただ、ながーく、ふーんと受け取るばかりです。

 なぜ、救われるのでしょうか? 
 それは、御心だからです。
 救いは、不思議の世界なのです。
 

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。