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          仏様の笑み


浄土宗・俊光寺・岩垣法順


百才近いお婆さんが、現役で家族の朝食を作り、お嫁さんの仕事に出かけて行かれる準備をされている。しかも、時折、庭の草も取っておられるご様子です。

そのお婆さん、さすがに最近、少し体調をくずされて、馴染みの主治医先生に検査してもらった。

「おばあちゃん 元気で色々されるのは 本当結構なことですが、もうそろそろ お風呂は、1人で入らないほうが良いですね」それを聞いてお婆さん「まーやだ 先生 一体誰と一緒にお風呂に入るんですか」検査の時の様子を茶目っ気な素振りでお話をされる。

いつもユーモアを絶やさない、サービス精神旺盛なお婆さんです。

法事とか、お説教の時とか、出会いの時、時々紹介するお話です。実を言うと、そのお婆さんは、長患いする事もなく、最後まで女性としての恥じらいを失うことなく、誰が見ても羨ましいほどの、ご往生をなさいました。今は、清らかな世界にお住まいの方です。

そのお婆さんのお話をすれば、何時もその場が和み、他の元気なお年寄りの話になったりします。そして、ふっと、思うのです。ひょっとして、今もお元気で、生き生きと活動しておられるのではないか、その人の生き方が、そのまま、回りを、今もこうして、和やかにさせている。それは、正しく、今も現に、生きておられると言うことではないのか。

一切衆生悉有仏性という、有名な言葉があります。今、難しい解釈をするつもりはありません。間違いなく仏に成れるという確信と、全ての人に仏の姿を見ることが出来る。ということをご理解いただきたいのです。

何にこだわり、何を考えているのでしょうか。仏を見ることが出来ないまま、信じることも出来ないで、途方に暮れる人達のなんと多いことか。

もっと身近に、自分が考えている以上に、もっと、近いところに、仏様はおられると言うことに、気がついて頂きたいのです。
 

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