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          「門松」は・・・

曹洞宗・大覚寺末益泰輝


 あけましておめでとうございます。皆さま健やかに新年をお迎えのことと思います。

 2002年、平成14年は世界情勢、日本国内ともに色々なことがあった年でした。

 もっともここ10年くらい、私自身毎年「去年は大変な年だったなぁ・・。」或いは「激動の1年だった・・。」といった言葉を使ったり耳にしたりしていますので、言葉自体もはや慢性的な感がぬぐえません。

 そんな中、本年は改めて自分の足元を見て一歩一歩着実に踏みしめていく年にしたいと考えています。

 室町時代の話ですが、私ども曹洞宗と同じ禅宗系である「臨済宗」で「一休宗純」(1394〜1481)という和尚さんがおられました。

 アニメ漫画の主人公に取り上げられ、またとんち話で有名なあの一休さんのことですが、その実像は書画や詩に親しみ、時には当時の形骸化した禅を鋭く批判し、風狂かつ奇抜な言動で独自の禅の有りようを示され、禅の民衆化に貢献すること大であった禅僧であったとのことです。

 「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」・・・一休宗純がお詠みになったお歌です。

 伝記によれば一休宗純は、正月を猫も杓子もおめでたいとはしゃぎ回る様子を見て、自ら墓場に赴き「髑髏」を拾って竹の先にくくりつけ、元日から家々の門口に足を止めてその「髑髏」を差し出し「この通り、ご用心ご用心」とふれてまわられたそうです。

 たとえお正月であろうとも、この世が無常であることを忘れるなというお示しなのであろうと思います。

 私にはとても真似の出来るべくもありませんが、何かを感じ取っていただけることを念じ、年頭に当たり紹介させていただきました。

 本年もどうぞ宜しくお願いいたします。


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