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          亡き人との「心」の交流

                                      (浄土宗・常念寺・古本光然)


こちらは、萩心の電話です。今週は、浄土宗常念寺がお話いたします。

お寺やお墓への御参りの仕方には色々あり、回数につきましても、人様々です。毎日参る人もあれば、一年に数回という人もあります。中には、親の葬式以来十年以上も参ったことがないという人もおられます。

私の知りあいに鈴木花枝(仮名)さんという方がおられます。彼女は仕事の関係もあって、一週間に一回御参りする事にしているそうです。その時、五十代半ばで、先年亡くなられたご主人や、舅、姑さんのお墓に向かって、しばらくの間、とりとめのないお話をされるそうです。うれしい事かなしい事、たまには、悪口や愚痴も出ます。側を通りかかった人が怪訝な顔をされたそうです。

家では、お仏壇に、ご主人の好きだったお酒にタバコ、お菓子等を一緒にお供えし、毎晩寝る前には、一日の出来事を、日記代わりに報告されるそうです。

それを見た子供さん達に「そんな事を言っても、死んだ者が聴いてくれるわけないよ」と笑われ、「それぐらいわかっちょるいね。それを承知で言うちょるんよ」と答えられたそうです。承知の上でしているという、母親の気持ちを、若い子供さん達が理解できるまでには、もう少し時間がかかるかもしれません 。

仏前での彼女の独り言は、亡きご主人に対する、何にも代えがたい供養となっているのです。彼女は、現代人に失われつつある、素朴な感性を持ち、亡き人との「心」の交流をつづけておられるのです。

来週月曜日より 臨済宗 善福寺様のお話に変わります。
 

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