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          年末の大掃除

曹洞宗・蔵海軒・村上徹山


 年末を迎えて何かとお忙しい日をお過ごしのことと拝察致します。

  ところで、大掃除はお済みでしょうか。台所や玄関、家の周囲、探せば切りがありませんが、忘れがちな、それでいて大変大切な場所があります。そうです。もうお気付きでしょうが、奥の部屋の「仏壇」です。 

  法事に伺ってもここが綺麗に掃除されていると、さぞ本尊さまやご先祖さまは気持ち良く過ごされているにちがいない、と、こちらもその日一日清々しい気分にさせられます。 おそらくその日招かれた親族の皆さんも同じ気持ちで帰られるに違いありません。
 
 その「仏壇」の中でも忘れられがちなものが「香炉」です。毎日線香を焚いていますとその滓が溜まります。空気中の湿気を含んだ灰は段々固くなって、線香がスーと真っ直ぐ立たなくなります。あちこち立つところを探しているとそのうち折れてしまいます。

 料理用の金属製ザルを用いていったん香炉の灰をその中に移し篩います。中のゴミを取り除いてその灰を香炉に戻し、とんとんと灰を落ち着かせます。
  この一連の作業が、実は自分の心を浄くすることに繋がって行くのです。飲み水を蓄えた瓶の水が汚れてしまったら、迷うことなくその水を捨てて新し
 い水を注ぎます。汚れた水を捨てなければ新しい水は中に入りません。

 私たちは日々の生活の中で、なかなか自分の考え方や行動、習慣が、たとえそれが間違いだと知っていても周囲の人の忠告を受け入れ改めることができません。

 あなたの考え方や行動にけちをつけるつもりはありませんが、汚れた瓶の水を捨てるが如く一度自分の心を空っぽにしてみては如何でしょう。そしてその上でやはり捨てがたいものがあれば改めて自分のものにすればよいのです。

 年末を迎えて是非「仏壇」と「香炉」のお掃除をお勧めします。そして新しい気持ちで新年をお迎えになって下さい。

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。