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二十一世紀に生きる君たちへ
(曹洞宗・大覚寺・末益泰輝)
桜の花が1つ、2つ綻び始めた先日、次男の小学校卒業式に列席して参りました。
趣向を凝らしながらも、厳粛な雰囲気の中に挙行された卒業式は大変感動的で、卒業生はもとより、保護者や先生方、在校生までもが、皆、涙しました。
滞り無く卒業式が終わり、爽やかな心持ちで、次男と共に教室に戻りましたところ、担任の先生より最後のお言葉があり、子どもたちに「あとで、これを読んで下さい。」と、一枚のコピーを渡されました。
帰宅後、次男から借りてそのコピーを見ると、1996年6月12日発行の「毎日小学生新聞」に載せられた、故・司馬遼太郎さんの「二十一世紀に生きる君たちへ」と題された原稿のもので、1989年に教科書「小学国語六年下」に掲載されていた教材でした。
長文の、熱い想いで書かれたものです。
一部を抜粋してご紹介いたします。
「私には二十一世紀のことなど、とても予測できない。
ただ、私に言えることがある。
それは、歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことどもである。
昔も今も、また未来においても変わらないことがある。
そこに空気と水、それに土などという自然があって、人間や他の動植物、さらには微生物にいたるまでが、それに依存しつつ生きているということである。
自然こそ不変の価値なのである。」
「もう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。
自分にきびしく、相手にはやさしく、とも言った。
いたわりという言葉も使った。
それらを訓練せよ、とも言った。
それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。
そしてたのもしい君たち≠ノなっていくのである。」
「君たち。
君たちはつねに晴れあがった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。
同時に、ずっしりとしたたくましい足どりで、大地をふみしめつつ歩かねばならない。」
司馬遼太郎さんから子どもたちに託されたメッセージではありますが、大人にとっても、心して受け取るべき内容に思えてなりません。
音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。