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母の往生〜み仏になる命の旅立ちの日〜
(浄土真宗・光圓寺・阿武孝昭)
今年の2月26日、母がお浄土へ還り、愛別離苦を味わいました。82才でした。
約1年間の自宅介護、看護、そして子や孫など家族およそ10人に看取られて自宅での往生でした。
家族にとって、この1年間は、老、病、死を体験しただけにとてもつらかったし、反面とても有意義で尊い1年間でした。
母は療養中、部屋から「山の上を飛んでいるカラス」をいつも眺めていました。
そして、カラスは「高いところを飛べてええの」「今日は少ないがどうしたんじゃろう。変わったことが無ければよいが」とか言って数を数えながら「かわいいネ」などと言っていました。
私は幾度と無く母と一緒にカラスを眺め、思いを聞きながら、野口雨情の「七つのカラス」の歌詞を思い浮かべたものでした。
カラスは昔から黒くて不吉な鳥として人々から嫌われている鳥ですし、ややもすればそのような見方をしていた私でもありました。
しかし、野口雨情や母はなんとも、愛おしく、可愛いカラスという見方をしていました。
世間の常識であるカラスの不吉なイメージを打ち破り、一変させるような慈愛に満ちた眼差しに驚かされましたし、いかに私が先入観や偏見を持って生きているかに思いが至りました。
母の老、病、死によって「阿弥陀如来様のお慈悲の下には生きとし生けるもの皆平等ですよ。」
阿弥陀経に説かれてある「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光」〜お浄土ではそれぞれの色がそれぞれの特徴を出して光り輝いており、差別、偏見のない世界〜。
さらに、「命には限りがあり、人生の終わりは無量寿命、すなはち、み仏になる命の旅立ちの日」といただいた私でした。

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