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    インド・霊鷲山(りょうじゅせん)での思い出

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 今年の一月の下旬に、縁あって、仏教発祥の国である「インド」と「ネパール」に行って参りました。

 「仏教」をお開きになられたお釈迦様にまつわる聖地、いわゆる「佛跡」を訪ねるためです。

 10日間という日程の中で、10箇所余りの聖地を巡らせて頂き、それぞれの場所で、お釈迦様に対する供養のお勤めをさせて頂きました。

 何れの場所も思い出深いのですが、個人的に一番印象に残っているのが、「霊鷲山(りょうじゅせん)」という佛跡です。

 ここは、お釈迦様が晩年に留まり、説法をされていた山といわれています。

 夜明け前に、法衣姿で宿を出発し、懐中電灯を手に山頂を目指しました。

 出発して40分ぐらい経った頃でしょうか、ようやく山頂に着きますと、かつてお釈迦様がいらっしゃったとされるお部屋の跡があり、そこには沢山の手製の飾りものやお供え、浄財が納められていました。

 写真では見たことのある聖地を、実際に目の当たりにすると、震えるような想いがこみ上げてきます。

 「2500年以上も前に、間違いなく、ここでお釈迦様がお説法なさっておられたのだ・・・。そして今、自分がここに居る。」

 参加者全員で法要を勤めた後、しばらく待っておりますと、徐々に太陽が昇り、辺りが明るくなってきました。

 聖地から見渡せる風景や辺りの静けさ、少しヒンヤリとした空気が、余りに心地良かったので、思わず近くの岩の上で坐禅を組みました。

 僅かな時間ではありましたが、静かで、柔らかな風の中で行なう坐禅は、それまで持っていた様々な悩みや邪念が全て取り払われて、心身ともに清らかになったかのように感じられ、通常の坐禅では得られないような、とても清々しく爽やかな気持ちになりました。
 
 振り返ってみると、「聖地だから」というような特別な感情が、自分の中で無意識のうちに働いたせいかもしれませんが、いずれにしても、霊鷲山での坐禅で頂いた感激は、あれから8ヶ月以上経った今も、忘れることが出来ません。

 現在は、相変わらず色んなことで悩んだり後悔したり、といった毎日ですが、あの時の光景や空気を思い出しながら、自分を励ましているところです。




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