トップ > ネット法話

このページは音声読み上げページです。下の[開始]ボタン(右矢印)を押すと、テキストの読み上げを開始します。[開始]ボタン(右矢印)が出ていない場合はここをクリックしてください。


          いつまでもあなたを愛している

浄土真宗・光源寺副・三上照文


 中国・四川大地震のニュースの中で心に残ったあるエピソードがあります。

 地震発生の翌日、救助隊員が瓦礫の下に女性の遺体を発見しました。

 女性は天井の下敷きになり、四つんばいになった格好で亡くなっていました。

 あまりにも遺体が多かったのでしょう。隊員たちはその遺体をそのままにして、とにかく生存者を早く見つけ出そうと、次の場所へ移動しようとしていました。

 その時、1人の隊員の耳に何か声が聞こえました。急いで引き返し、女性の体の下のあたりを手で探ってみると、そこに赤ちゃんが生きていたのです。

 慎重に瓦礫が取り除かれ、女性の体の下から、生後3、4ヶ月の男の赤ちゃんが救出されました。

 女性は最後まで身を挺して赤ちゃんを守っていたのです。

 赤ちゃんには怪我一つなく、救出された時すやすやと眠っていたそうです。

 女性の手には携帯電話が握られており、その画面に1通のメールが残されていました。

 「私のかわいい赤ちゃん、もしあなたが生き延びてくれるなら、お母さんを忘れないでね。お母さんはいつまでもあなたを愛しているのよ」

 それは息を引き取る前に、お母さんが子供に残した最後のメッセージだったのです。

 母を亡くしたこの子にとって、今後、人生において一人寂しい時や辛い時もあるでしょう。

 しかし、「いつまでもあなたを愛しているのよ」という母の最後の言葉、思いというものが必ずこの子に伝わり、生きる支えになってゆくと思います。

 親鸞聖人は艱難辛苦の多い90年の御生涯を力強く生きられましたが、「本願力にあひぬれば、むなしくすぐるひとぞなき」と阿弥陀様を讃えてくださっています。

 大いなる智恵と慈悲の如来に、常に願われている私であるのだと気づかせていただくことが、私の力になってゆくのです。



音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。