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観音さまは男性それとも女性?
(曹洞宗・海潮寺副・木村延崇)
私が小さいころ育ったお寺には、子宝・安産の子安観音がおまつりされていました。
その観音さまは赤ちゃんを抱いて、お乳を与えていましたので、まるで母親の姿そっくりでした。
観音さまには、千本もの腕をもつ千手観音、真っ白い衣をまとった白衣観音など、いろんな姿があります。
といいますのも、観音さまは世の中のあらゆる苦しみを聞いて、たちどころにその声にふさわしい姿に身をかえて救ってくださるからです。
では観音さまは一体、男性でしょうか、女性でしょうか。
もともと観音さまは男女を超越した姿であるとされ、古いお経にも特に女性的な姿であるとは決められておりません。
ところがやがて、インド古来の女神である弁財天や吉祥天が、観音さまの性格に共通していると受けとめられるようになりました。
そして女性的な姿がだんだん定着していったと考えられています。
弁財天は日本人にも七福神の弁天さまとしておなじみですが、琵琶の美しい音色を奏でる姿と、観音さまのだれにでも優しく語りかける姿とが、重なりあったのでしょう。
その一方で、十一の顔をもつ十一面観音には、穏やかな顔のほかに、怒ったり、キバのはえた顔も見られます。
こうした力強くたくましい顔立ちを見ますと、男性のようだと感じる方もおられるかもしれません。
このように女性のように見えたり男性のように見えたりしますが、般若心経にもありますように、観音さまは別名「観自在菩薩」ともいわれ、悩みや苦しみに対して自由自在に、ときに厳しく、ときに暖かい言葉をかけてくださいます。
私たちも男性であろうとも女性であろうとも、そのときの相手にとって一番適した言葉や表情を用いているかどうか、ひとつ観音さまをお参りした際には見習いたいですね。

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