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      心に太陽 身に作法

曹洞宗・海潮寺副・木村延崇


 先般、子どもの通う小学校で、保護者と児童に対して「食事と姿勢について」話をして欲しいとの依頼がありました。

 食事中の姿勢が悪かったり、マナーが身につかないことに悩む保護者が多いようです。

 私は禅の修行道場で800年も伝承されてきた食事の心得を中心にお話ししました。

 空腹感を満たすためではなく、丈夫な体と立派な心を作り出すために食事をするということ。

 食材にはいのちがあるということ。

 調理してくれた人、食材を生産してくれた人、運搬してくれた人。

 多くの人たちの苦労と食に携わる喜びにまで思いを深くめぐらしながら、感謝していただくのが、大切な食事の心得です。

 その一方で、子どもたちにそうした心得を十分理解させながら食事をするのは、まだまだ難しいことでしょう。

 会場となっていた教室の壁には「心に太陽、身に作法」と筆書きされた額がかけられていました。

 私はこの額を見ながら、同席している保護者に対して次のように語りかけました。

 大変よい言葉ですが、「身に作法」がつけば、自ずから「心に太陽」が輝くものだ、と受けとめてみましょう。

 頭ごなしに食の重要性を説き示すことからはじめるのではなく、きちんと背筋をのばし、食事に対してまっすぐ向きあう姿勢を身につけさせる。

 そうすると、だんだんといのちに対してまっすぐ向きあう態度が育ちます。

 これは子育てにおいて特に心得ておきたいことでしょう、と締めくくりました。

 講話後にあらためて振り返ってみて、「形直影端(けいちょくえいたん)(姿形がまっすぐであれば、影も端正に整う)」という禅語(宗鏡録(すぎょうろく))にも通じるだろうなと、思い至りました。