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    高処は高平、低処は低平に

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 毎年、春と秋にお寺の大きな法要をお勤めしています。

 先日も恒例の春季法要を執り行いました。

 法要を迎えるにあたっては、使わないものなどは倉庫などに収納するわけですが、いつの間にやら物品が増えている上、収納スペースも限られていますので、毎回毎回、片付けに一苦労しています。

 2日後に法要を控え、この度も「あれ?これ、こんなに沢山あったかな?」などと、ぶつぶつ独り言を言いながら、不要なものを倉庫の中に無理矢理、積み上げていたその時です。

 納めていた物品が「ガラガラガラッ!ドスン!」と、突然、音を立てて崩れ落ちました。

 理由は明白。

 とにかく片付けなければという気持ちが先立ち、後先を考えず収納していったばっかりに、積み上げた物品のバランスが崩れたのでした。

 道元禅師様は、「典座教訓(てんぞ きょうくん)」という著書の中で、「高処に安ずべきは高処に安じ、低処に安ずべきは低処に安ぜよ。」とお示しになっています。

 つまり、高い所に置くべきものは高い所へ、低い所に置くべきものは低い所へ、真心を込めてきちんと片づけておきなさい、と仰るのです。

 確かに、自分勝手な都合に任せて、いい加減に片づけてしまっては、時として私の場合のように不具合や不都合なことが起こってしまうものです。

 「知識として判っているつもりの有難い教えも、実行しなければ意味がない。」ということを、身を以って再確認した法要2日前の出来事でした。




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