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      蜜湯(みっとう)

曹洞宗・海潮寺副・木村延崇


 6月3日は当寺の開山忌、つまり初代住職の命日です。

 本堂にお位牌をまつり、さまざまな供物をおそなえするところから法要が始まります。

 先ずはじめにお供えされるものは、砂糖をお湯で煎じ溶かした「蜜湯(みっとう)」といわれる、温かく甘いまろやかなお湯です。

 あたかもご開山さまが、はるばるこの場に足をお運び下さったものとして、その疲れを癒して下さるよう、蜜湯をお召し上がりいただくのです。

 今でも禅宗では、よそから目上の和尚さまをお招きする際には、この蜜湯に梅干しを添えた「梅湯(ばいとう)」を振る舞い、おもてなしすることが礼儀となっています。

 萩地方ではお盆になると、お仏壇に「迎え団子・送り団子」をお供えされるご家庭をよく見受けます。

 それは白玉団子と、きな粉団子ですが、檀家さんからは「どちらが迎え、あるいは送り団子に相当するのでしょうか」とよく訊ねられます。

 そこで蜜湯でおもてなしをして疲れを癒していただく、という考え方に照らしてみると、迎え団子は甘い方がご先祖さまは喜ばれるでしょうから、砂糖ときな粉をまぶした団子を、迎え団子に見立てると良いのではないでしょうか。

 そうすると、白玉団子は送り団子になりますが、お帰りの道中、お腹がすくでしょうから白いおにぎり、と見立てても良いかも知れませんが、いかがでしょうか。

 ともかく、お供えをする際には、すがたかたちが見えなくとも、亡き方を敬い慕う心構えが、何よりも大切であることはいうまでもないでしょう。