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          三途の業 〜一年を振り返って〜

浄土宗・常念寺副・野花祥生


 平成19年もあと20日あまりで終わろうとしています。年の瀬を迎え、皆様お忙しいことと思います。

 年末の大掃除やお世話になった方へお歳暮を送ったり、新しい年を迎える準備等、年末年始にかけてはたくさんの用事を済ませなければなりません。

 その中でも特に大変だと思われるのが年末の大掃除であります。
 
 普段は掃除しないようなところまで一斉に掃除して、今年一年の間にたまった汚れを落とし、新年をきれいな状態で迎えたいものでありますが、なかなか大変なものです。

 いろいろと大変な年の瀬でありますが、家の中の大掃除だけでなく、私たちの心の中も今年一年の間の汚れを落とす大掃除をして、新鮮な気持ちで新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか。

 今年一年を振り返ってみて、どのように過ごしてきたか、忙しい毎日を送る中で自分自身の行いを見つめ直すには、よい機会だと思います。

 あるお経には「一人一日のうちに八億四千の念あり。念々のなかの所作みなこれ三途の業なり」といいます。

 八億四千とはたとえでありますが、私たちは一日のうちに絶え間なく無数のことを考えています。

 そしてそれらの一つ一つ、心の中で為していることは、みな地獄・餓鬼・畜生の三悪道に生まれるような行いであるというのです。
 
 物を盗んだり人を殺したりするような悪業はおかしていないものの、われわれは日々些細なことで怒ってけんかしたり、人の悪口を言ったり、あれも欲しいこれも欲しいと欲張ったり、少し疲れたといっては怠けたりしてしまうものであります。

 実際に行動にしなくともそういったことを日々考えて生活しています。一年ですと本当に数えきれないほどの三途の業を重ねているわけです。
 
 今年の自分はどんなことを考えて日々を送ってきたでしょうか。

 年末の忙しい中にほんの少しの間だけでも、仏様やご先祖様の前で今年一年の私自身を振り返ってみる。

 そして年の改まるのをきっかけに、少しでもそれらの悪業を重ねないようにするという気持ちを新たに起こすことを仏様やご先祖様への新年のご挨拶にされてみてはいかがでしょうか。



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