トップ > ネット法話

このページは音声読み上げページです。下の[開始]ボタン(右矢印)を押すと、テキストの読み上げを開始します。([開始]ボタン(右矢印)が出ていない場合はここをクリックしてください。)

    静寂を味わう

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 10月の終わりに、地元のとある団体の女性部の依頼を受け、お寺の本堂で「坐禅と法話の会」を行ないました。

 担当の方の要望では、

「みんな普段仕事や生活に追われて、なかなか落ち着いた時間が持てないので、坐禅をしたり、お話を聞くことで、精神的な癒しを貰えるような感じでお願いします。」

ということでしたので、なるべくご要望に沿えることが出来るよう、微力ながら務めさせて頂きました。

 当日は、午後6時30分から8時まで、という時間の枠組みで、まず坐禅の坐り方の説明や心構えをお話しした後に、実際に坐禅をしたのですが、せっかくの夜の時間帯ですので、本堂内の照明を極力少なくして行ないました。

 参加者は10名。

 広い本堂の中で、しかも最小限の灯りの中での坐禅です。

 空気もなんとなくヒンヤリしてきます。

 虫の声は少し聞こえますが、国道から少し離れていますので、車の音は殆ど聞こえてきません。

 20分程度という少なめの時間でしたが、しっとりとした暗闇と静寂、そして張り詰めた緊張感の中、じっくり坐って頂きました。

 時間の関係上、最後に予定していた法話もそこそこに、あっという間の閉会となりましたが、解散前に参加者とお話ししますと、「参加して良かった」、「気持ちがちょっとスッキリした」というものに加え、「夜というのは、実はこんなにも静かだったんだな、と改めて気が付いた」という感想が多かったのが、とても印象的でした。

 日々の生活において、様々な娯楽やテレビなど、私たちは一日中、何かしらの人工の音に囲まれています。

 時には全ての音を消して静寂や自然の音を味わうことは、身体と心に沢山の栄養を与えてくれるんだろうな、と、参加者を見送りながら思った次第です。




音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。