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真如法性とお念仏

浄土真宗・端 坊・榮 中


 前回は、私がお寺に生まれながら、材料力学を専門とする教職について、全ての物質が陽子と中性子と電子からできているという一般的な原子論を再認識し、この娑婆世界には人の知恵の及ばない領域が確かにあると愕然とし、仏様のお悟りであります真如あるいは法性が一般的な原子論と私の心の中で繋がったということまでお話しいたしました。

 仏様のお悟りは普通の人間の智慧の及ばないことですから、誰にでもわかる言葉で表すことはほとんど不可能なのですが、手元の本を参考にしますと、真如あるいは法性は、物のありのままの姿、すべての存在の本性が、あらゆる差別的な相を超えて絶対の一であることとあります。

 2500年前のお釈迦様のお言葉が、現代の物理学に繋がったことに感動を覚えたわけでございます。

 そして、原子論の先は、おいそれと人間が足を踏み入れることができる領域ではないと感じたわけでございます。

 仏様のお話がわからないからと両親の希望を振り切って、材料力学の世界に身を投じた私でございますが、材料力学の世界で仏様のお話のすごさと自分の非力さに愕然として、お寺に戻ろうと思ったわけでございます。

 そのとき、戻るお寺で聞こえる仏様のお話が親鸞聖人のお念仏でよかったとつくづく思ったわけでございます。

 お念仏は、生きている人間が、亡くなった方の死んだ後の立場をよくするための呪文ではありません。

 さらにいえば、お念仏で、直接的に、お金が儲かるわけでもなく、健康になるわけでもなく、家の者が事故に遭わず、仕事や恋愛がうまくいくわけでもありません。

 念のため申し添えますが、お念仏で、直接的に、貧乏になったり、病気になったり、家の者が事故に遭ったり、仕事や恋愛に失敗することもありません。

 では、お念仏は何のためにあるのかということでございますが、私のはかない命を空しくないものにするという仏様の願いなのでございます。

 どうして、お念仏が命を空しくないものにしてくれるのかということですが、ここから先はそれぞれの病気にあった薬があるように、人それぞれの味わいとなるのでございます。

 そろそろ、時間となりましたので、続きは次回の端坊の担当の時とさせていただきます。



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