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強く明るく生き抜きます

浄土真宗・端 坊・榮 中


 前回は「東日本大震災によせて」お話しをさせて頂きましたが,それまでに,四回にわたって,私がお寺に生まれながら,仏様のお話がわからないからと,材料力学を専門とする教職に就き,材料力学とつき合いながら人生経験を重ねるうちに,浄土真宗の教えのすばらしさを味わうことができたことをお話しいたしました.

 浄土真宗の教えのすばらしさと申しますのは,詰まるところお念仏が私のはかない命を空しくないものにしてくださるということでございます.

 どうして,お念仏が命を空しくないものにしてくれるのかということですが,それぞれの病気にあった薬があるように,それぞれの人の人格とその人のおかれた環境によって,それぞれの味わい方ができるのでございます.

 ある人は,仏様のさとりが得られるから,またある人は,死んだ後にお浄土に生まれることができるから,またある人は,いつも仏様が一緒にいてくださるから,またある人は,死んだ後にまた皆と会えるから,またある人は,数限りない命に生かされているから,ありがたいと味わわれるのでございます.

 私の場合は,陽子と中性子と電子の集まりであるこの私が今このとき生命活動をしている不思議さを阿弥陀様にお任せできるというありがたさが,私の命を空しくないものにしてくれると味わったわけでございます.

 仏様の知恵を持たない私は物の本質を見ることができません.

 明日のことがわからないので,不安になります.

 人の気持ちがわからないので,諍いが起こります.

 時には,自分の気持ちさえわからなくなります.

 だからといって,自分に都合がよくなること願って,占いや祈祷にたよりますと道を誤ります.

 この人間の世界に厳然とある人間の知恵の及ばない領域のことにつきましては仏様にお任せして,この私のはかない命が空しくないものであると味わったならば,感謝の気持ちをもって,この命を力の限り強く明るく生き抜くことができるわけでございます.

 丁度,時間となりました.これで,2007年の11月に始まった,私が萩・心の電話で,録音機を前に語りかけることになったいきさつのお話しは,おしまいでございます.




音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。