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    よい一日を

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 今年も早や、一ヶ月が経ちました。

 月日、日々の時間の過ぎ去る速さに驚くばかりです。

 時折、年上の方が「時のながれは一年一年、早くなるから。」と述べられますが、その意味の深みが、年々解る気がします。

 新しい年を迎え、心新たに清々しい気持ちの中、今年こそは一日一日を大切に務めるぞ、と誓うものの、松の内が明ける頃には、そんな誓いはどこへやら。

 日常に追われ、なんとなく流れに任せて毎日を過ごしている自分に気づきます。

 怠惰、とは言わないまでも、一日一日を大切に、という境地にはなかなか辿り着けません。

 面倒な事柄となれば、これはまた明日やろう、もう少し考えてから、と、ついつい先送りにしてしまいます。

 お釈迦様は、日々を生きる心得として、

「過去を追ってはならない。未来を待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを強く生きねばならない。今日すべきことを明日に延ばさず、確かにしていくことこそ、よい一日を生きる道である。」

 と、今、この時を生きる姿勢の重要さを、明確にお示しになりました。

 今日この時は、まさに、今日、この今しかないのです。

 無理をして体調を崩しては元も子もありませんが、ほんの僅かでも、その真髄を頂戴し、よい一日を歩んでまいりたいと願うものです。